Han, H. (2014). “Westerners,” “Chinese”, and/or “us”: Exploring the intersection of language, race, religion and immigrantization. Anthropology and Education Quarterly.

(文献原文:英語)

「 “西洋人”、“中国人”、そして/または“私たち”:言語、人種、宗教と移民化の狭間を見る」

所見:

この研究は、カナダの移民について、教会という北米では文化の一部ともいえる背景に焦点をあてたものである。面白い観点として、移民を“1.5世代”と“新移民”という分化したものとし、それぞれの観点から個々のアイデンティティのあり方を描写している。同じ人種でありながら、なぜ人々は同種の人物を崇めたり、見下したりすることがあるのか。それには、社会的地位や言語が複雑に絡み合い、一つ一つの概念を形成しているようである。ここに見る批判的人種理論は、単にクリティカルという枠にとどまらず、民族誌学の観点から人とはどのようなものであるか、社会言語学の面から力強く描いているように思える。

 

*日本語の表題は、英語原題からの公式な訳ではありません。

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Danièle Moore & Laurent Gajo (2009) Introduction – French voices on plurilingualism and pluriculturalism: theory, significance and perspectives, International Journal of Multilingualism

(文献原文:英語)

「 序章:複言語主義と複文化主義におけるフランスの声:理論、有意性そして視点」

所見:

複言語主義を学び始めるにおいて、最適の文献。同概念をヨーロッパの視点から非常に良く描写したもの。日本で一般的に言う、「バイリンガル」の伝統的な概念とは異なり、一個人が持ちうる複数の言語能力がいかに働き合い、また、教育へとつながっていくかを提起している。昨今の日本政府における小学校英語教育や大学受験における上智大学と英検協会によるTEAPなど、根底には複言語主義および複文化主義の考えが見え隠れしているように見える。一方で、バイリンガルやマルチリンガルなど日本では複言語主義に追随して考察する概念が元々歴史的にも文化的にも北米やヨーロッパなどと異なっている場合がある。また日本文化に根付いたそれられへの日本特有の国民性に影響された理想や固定概念(e.g., ソーシャルイマジナリー)なども影響しているだろう。これら背景を考えると、様々な理由で公共教育への実質的またはアグレッシブな普及はその展望を裏腹に現段階では難しいのかもしれない。しかしながら、このグローバリゼーションの“プレッシャー”の中、日本における複言語主義の実体化は必須であろうし、民間レベルでは成功例もすでに多々見えていると思う。

 

*日本語の表題は、英語原題からの公式な訳ではありません。

Hodge, R. and Jones, K. (2000) “Photography in collaborative research on multilingual literacy practices”. In M. Martin-Jones & K. Jones (eds.), Multilingual literacies (pp.299). Amsterdam: John Benjamins.

(文献原文:英語)

「多言語リテラシーに関する恊働研究における写真の活用」

所見:

定性的研究において、参加者(研究対象)のあり方が様々な研究で取り扱われていると思いますが、この文献は、その参加者の民主的な研究への参加を見直すに大変力強いものであると感じます。誰の研究であるのか?様々な方面で研究と実践の関係が問いただされる今日、研究手法自体の価値観および有用性の見直しが鍵となるような気がします。その他にも、例えばスクリプト習得において、家庭などの研究者の入りづらい場所などでのより豊かな情報収集を可能とするだけでなく、参加者のより深層心理にある様々な選択を探るツールになるような気もします。また、実践的な意味でも、フィールドノートや省察を補助するだけでなく、インタビューなどの実際の参加者とやり取りをより豊かなものとし、情報収集時にも様々な不予測なデータの浮上を可能とするものです。これは、子どもを対象とした研究では特にその主観的情報の探求に役立つものではないでしょうか?

 

*日本語の表題は、英語原題からの公式な訳ではありません。

Yamanishi, Yuji. 「多文化社会コーディネーターの専門性形成と恊働実践研究の意味」

(Original article in Japanese)

http://www.tufs.ac.jp/blog/ts/g/cemmer/14_yamanishi.pdf

“The meaning of professionalization and collaborative, practical research of Multicultural Society Coordinators”

Review:

This article examines and reports a four-year research project on Multicultural Society Coordinators (MSC) at Center for Multilingual Multicultural Education and Research, Tokyo University of Foreign Studies. The article illustrates the analytical framework, in progressive development, which, seemingly, scaffolds the practical promotion of the functions of MSC. In the second stage of the project, in 2009/2010, Five Roles and Components of MSC as Professionals have been conceptualized in a more concrete manner. Those five are: Creating and building new relationships; Probing into potential concerns; Finding and webbing the resources; Designing a society; Creating programs and place to participate. Relevant to any other study of ‘teacher-researcher’ (e.g., Toohey, K.), this study addresses implications that shall set a mutually formative nature of the framework for ‘practice and research’.

*Title in English is not the official translation of the original in Japanese.

Danièle Moore (2010) Multilingual literacies and third script acquisition: young Chinese children in French immersion in Vancouver, Canada, International Journal of Multilingualism, 7:4, 322-342

(文献原文:英語)

「多言語リテラシーと第三スクリプト習得:カナダ・バンクーバーにおけるフレンチイマージョン教育を受ける中国人の子供たち」

所見:

カナダ・バンクーバー地域における多言語リテラシーに関する研究。フランス語が英語に並び公用語であるカナダ。英語が主要な社会的言語であるバンクーバー地域でのフレンチ・イマージョン教育に参加する中国人の子どもによる第三スクリプト(書記体系)の習得に関して、複言語主義などを応用した研究。ヴィゴツキーの知識獲得の方法としての描写に関する理論等を参考に、子どもがいかに異なる言語間でその書記体系における知識を想像力豊かに移行するかに関する考察は、発達心理の側面から見ても大変に興味深い。構成主義の観点から、子供達がどのように言語を習得していくのか。また、それに付属する親が抱く様々な社会的価値観などの考察が、子どもたちの言語習得とアイデンティティ構築との関係を絶妙に浮き彫りにしている。

*日本語の表題は、英語原題からの公式な訳ではありません。